C# の WPF を利用して、タスクトレイに常駐するアプリケーションのひな形を開発してみます。 チュートリアルに近い形で順を追って作成できるようにしてみました。
概要
ここでは、タスクトレイ常駐アプリとして最低限と思われる以下の機能を実装します。
実装機能
- タスクトレイに「常駐アプリのアイコン」を表示する
- 「常駐アプリアイコン」を右クリックでコンテキストメニューを表示する
- コンテキストメニューには以下の項目が表示される
- 表示
- 終了
- コンテキストメニュー「表示」をクリックでウィンドウが立ち上がる
- コンテキストメニュー「終了」で常駐アプリを終了する
実行イメージ
プロジェクト の 作成
プロジェクト自体は特に気にすることはなく、ウィザードに従って "WPFアプリケーション" のプロジェクトを作成します。
常駐アプリ の 実装
アプリケーション名 の 変更
- プロジェクトを右クリック、 [プロパティ] を選択
- [アプリケーション] タブ にある [アセンブリ情報] ボタンを選択
- 「アセンブリ情報」にて、 タイトル を変更
※ ここで設定する タイトル は 「通知領域アイコン」にて表示される アプリケーション名 になります
NotifyIcon クラス の ラッパー ひな型 (NotifyIconWrapper) 作成
NotifyIcon クラス
は WPF で直接使えないので、ラッパーを作成して利用します。
ここでは、そのひな形を作るだけで、中身の実装はあとで行います。
- プロジェクトを右クリック、[追加]-[新しい項目] を選択
- 「新しい項目の追加」ウィンドウにて、「コンポーネント クラス」を選択し、名前を入力して、[追加]ボタンを押下
ここでは名前をNotifyIconWrapper
としました。
アプリケーション の 起動処理 を 修正
Window は表示せず、 NotifyIcon のみを起動するように処理を変更します。
- App.xaml から
/Application/@StartupUri
を削除修正前
修正後 App.xaml
<Application x:Class="ResidentApplication.App" xmlns="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml/presentation" xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml"> <Application.Resources> </Application.Resources> </Application>
- App.xaml.cs に プロパティ、起動処理、終了処理を追加
修正前
修正後 App.xaml.cs
namespace ResidentApplication { using System.Windows; /// <summary> /// App.xaml の相互作用ロジック /// </summary> public partial class App : Application { /// <summary> /// タスクトレイに表示するアイコン /// </summary> private NotifyIconWrapper notifyIcon; /// <summary> /// System.Windows.Application.Startup イベント を発生させます。 /// </summary> /// <param name="e">イベントデータ を格納している StartupEventArgs</param> protected override void OnStartup(StartupEventArgs e) { base.OnStartup(e); this.ShutdownMode = ShutdownMode.OnExplicitShutdown; this.notifyIcon = new NotifyIconWrapper(); } /// <summary> /// System.Windows.Application.Exit イベント を発生させます。 /// </summary> /// <param name="e">イベントデータ を格納している ExitEventArgs</param> protected override void OnExit(ExitEventArgs e) { base.OnExit(e); this.notifyIcon.Dispose(); } } }
NotifyIconWrapper クラス の 実装
- 「ソリューション エクスプローラー」にて、「NotifyIconWrapper.cs」をダブルクリック
- 「ツールボックス」にある「NotifyIcon」と「ContextMenuStrip」を、「NotifyIconWrapper.cs [デザイン]」へ ドラッグ&ドロップ
NotifyIcon は [コモンコントロール]-[NotifyIcon] にあります。
ContextMenuStrip は [メニューとツールバー]-[ContextMenuStrip] にあります。 - 「ソリューション エクスプローラー」にて、「参照設定」を右クリック、[参照の追加] を選択
- 「参照マネージャー」にて、
System.Drawing
を追加※
System.Drawing
は アイコン を表示させるために必要な参照になります。 - 「NotifyIconWrapper.cs [デザイン]」に追加した
notifyIcon1
を選択し、「プロパティ」ウィンドウにて、以下の項目を設定「通知アイコン」プロパティ
ContextMenuStrip
- タスクトレイに表示するアイコンを右クリックした時表示するコンテキストメニュー
前項で追加したcontextMenuStrip1
を設定 Icon
- タスクトレイに表示したいアイコン
Text
- タスクトレイ上のアイコンにマウスオーバーした時表示されるツールチップメッセージ
※ ここで設定する Text は「通知領域アイコン」にて表示される コメント、タスクトレイ上で アイコン に マウスオーバー したときの ツールチップ になります
- 「NotifyIconWrapper.cs [デザイン]」に追加した
contextMenuStrip1
を右クリック、[項目の編集] を選択 - 「項目コレクション エディター」にて、以下のような
MenuItem
を2項目追加「"表示" メニュー項目」プロパティ
(Name)
- toolStripMenuItem_Open
Text
- 表示
「"終了" メニュー項目」プロパティ
(Name)
- toolStripMenuItem_Exit
Text
- 終了
NotifyIconWrapper クラス
に コンテキストメニュー 選択時 の 処理を実装修正前
修正後 NotifyIconWrapper.cs
namespace ResidentApplication { using System; using System.ComponentModel; using System.Windows; /// <summary> /// タスクトレイ通知アイコン /// </summary> public partial class NotifyIconWrapper : Component { /// <summary> /// NotifyIconWrapper クラス を生成、初期化します。 /// </summary> public NotifyIconWrapper() { // コンポーネントの初期化 this.InitializeComponent(); // コンテキストメニューのイベントを設定 this.toolStripMenuItem_Open.Click += this.toolStripMenuItem_Open_Click; this.toolStripMenuItem_Exit.Click += this.toolStripMenuItem_Exit_Click; } /// <summary> /// コンテナ を指定して NotifyIconWrapper クラス を生成、初期化します。 /// </summary> /// <param name="container">コンテナ</param> public NotifyIconWrapper(IContainer container) { container.Add(this); this.InitializeComponent(); } /// <summary> /// コンテキストメニュー "表示" を選択したとき呼ばれます。 /// </summary> /// <param name="sender">呼び出し元オブジェクト</param> /// <param name="e">イベントデータ</param> private void toolStripMenuItem_Open_Click(object sender, EventArgs e) { // MainWindow を生成、表示 var wnd = new MainWindow(); wnd.Show(); } /// <summary> /// コンテキストメニュー "終了" を選択したとき呼ばれます。 /// </summary> /// <param name="sender">呼び出し元オブジェクト</param> /// <param name="e">イベントデータ</param> private void toolStripMenuItem_Exit_Click(object sender, EventArgs e) { // 現在のアプリケーションを終了 Application.Current.Shutdown(); } } }
実装は以上になります。 この後は、実際にアプリを実行して正常に動作するか検証を行います。
常駐アプリ の 実行/テスト
特に変わったことはせず、普通にデバッグ実行するとテストができます。
参考記事
- SourceChord - WPFでの常駐アプリの作り方
- C# カフェ ~プログラマー達の憩い場 - C#でタスクトレイ常駐型アプリケーションの作り方~その1
- hnx8 開発室 - タスクトレイ常駐アプリの実装 Tips&Tricks(その1)
- 半透過マルチアイコンfavicon.icoを作ろう!
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